家庭の「ルーティン」が子どもの安心と自信を育てる理由

毎日のバタバタ、心あたりはありませんか?

家庭のルーティンがうまくいかないと感じることはありませんか?

朝、子どもが着替えをなかなかしない。夜、寝かしつけの時間がずるずる遅くなる。

「毎日同じことの繰り返しなのに、どうしてうまくいかないんだろう?」――

そんな風に感じたことはありませんか?

そんな毎日の中で、ちょっとした「流れ」を見直すだけで、親子の時間がぐっと穏やかになることがあります。

実は、この『毎日の流れ』こそが、子どもの「安心」と「自信」を育てる大切な土台なのです。

前向き子育て(Positive Discipline)でも、『ルーティン』は「叱る代わりに、子どもと一緒につくる約束」として紹介されています。

そして心理学や教育学の研究でも、家庭のルーティンが子どもの発達に良い影響を与えることが数多く報告されています。

ルーティンとは? なぜ大切なの?

ルーティンとは、「毎日おおむね決まった流れで過ごすこと」。

朝の支度や食事、寝る前の読み聞かせ――こうした『繰り返し』が、子どもに「次に何が起こるか分かる安心感」を与えます。

この「予測できる環境」が、子どもにとって心の安全基地になります

決まった流れの中で、「自分はできる」「家は安心できる場所」という感覚が育つのです。

💡研究から見えてくる、ルーティンの力

🏡 幼児期のルーティンと「心の安定」

アメリカの大規模調査では、

家庭での決まった習慣(例:家族で食事をする、読み聞かせをする、歌をうたうなど)が多いほど、

子どもの「心が安定していて、人とうまく関われる力」(社会的・感情的な健康) が育ちやすいことが分かっています (Muñizら, 2014)¹。

また、毎日の流れが安定している家庭では、

子どもが気持ちを落ち着けたり、集中したり、人との関わり方を学ぶ力が伸びやすいという研究もあります(Hosokawaら, 2023)²。

🌙 夜のルーティンは「学ぶ力」の土台に

寝る前の過ごし方も大切です。

お風呂のあとに絵本を読んだり、静かに過ごす時間を持つなどの「就寝ルーティン」がある子どもは、睡眠の質が高く、翌日の集中力や気分の安定にも良い影響があると報告されています(Kitsarasら, 2018)³。

最近の研究レビューでも、日々のルーティンが子どもの心を安定させ、学ぶ力を伸ばす大切な土台になることが指摘されています(Selman, 2024)⁴。

つまり、ルーティンは「生活の決まりごと」以上のもの。

子どもの「心の安定」と「学ぶ力」の両方を支える、目には見えない安心の仕組み・サポートなのです

脳の発達を支えるルーティンのしくみ

毎日の決まった流れを繰り返すことは、実は脳のトレーニングにもなります。

ハーバード大学の研究では、日々のルーティンが「考える力」「切り替える力」「がまんする力」―― いわゆる「実行機能(じっこうきのう)」を育てる練習になると紹介されています(Harvard University Center on the Developing Child, 2011)⁵。

たとえば、

  • 朝の支度を順番にこなす
  • 寝る前に片づけてパジャマを着る

こうしたシンプルな流れの中で、

子どもは「次に何をするか考える力」や「自分で気持ちを切り替える力」を自然に身につけていきます

また、毎日の生活に一貫性があることで、

子どもは「ちょっとした変化」にも安心して対応できるようになります

この「日々の安定」が、ストレスの多い時期を乗り越える『レジリエンス(回復力)』を育てていくのです。

🌱 私がサポートしていたご家庭でも、日常に小さなルーティンを加えることで、子どもとの時間がよりスムーズで、穏やかで、協力的なものに変わっていくのを感じました。また、自分でできることが増えたという実感や、達成感・有能感・自信を、共に喜ぶ場面もたくさんありました。

実際に、ルーティンを取り入れたことで親子の時間が穏やかになったという声もあります。興味がある方はこちらをご覧ください 👉「保護者様の声:娘と私に寄り添ってくれた3年間」(3歳女の子のママの体験)

忙しい日々の中でも、「決まった流れ」があることで、親子の心にもゆとりが生まれますね。

まずは『小さなルーティン』から

ルーティンは完璧でなくて大丈夫。

「朝の『いってきますハイタッチ』」「寝る前の『今日のありがとう』」――

たった1つでも、「決まった小さな流れ」が子どもの安心と笑顔を増やします

前向き子育て(Positive Discipline)では、ルーティンを「親が決めるもの」ではなく、

『子どもと一緒に決めるもの』として大切にしています。

まだ小さいうちは、親がリードしながら「安心できる流れ」をつくってあげることがポイントです。

そして、成長に合わせて少しずつ「自分で考えて決める経験」を増やしていくことで、子どもは「自分もチームの一員なんだ」と感じ、やる気がぐんと育ちます。

家庭の中で「ルーティン」を整えることは、子どもの安心感や自信を育てる第一歩です

完璧じゃなくていい。小さな一歩から始めよう。

子どもが安心して伸びていくための土台は、「特別な教育」よりも、「日々の流れの中」にあります。

完璧を目指すよりも、今日からできる小さなルーティンを一つ作ってみましょう。

もし「どこから始めたらいいか分からない」と感じたら、

コーチングを通して、一緒にご家庭に合ったルーティンを整えていくお手伝いもできます。ご相談やお問い合わせは、こちらからどうぞ

あなたのご家庭にも、きっとすでに小さなルーティンの芽があります。
その芽を、一緒に育てていけたら嬉しいです。


参考文献

※以下の一部文献は英語の研究論文です。内容を簡単にご紹介しています。

  1. Muñiz, E. I., Silver, E. J., & Stein, R. E. “Family routines and social-emotional school readiness among preschool-age children.” Journal of developmental and behavioral pediatrics : JDBP vol. 35,2 (2014): 93-9. doi:10.1097/DBP.0000000000000021
  2. Hosokawa, R., Tomozawa, R., Katsura, T. “Associations between Family Routines, Family Relationships, and Children’s Behavior.” J Child Fam Stud 32, 3988–3998 (2023). https://doi.org/10.1007/s10826-023-02687-w
  3. Kitsaras, G., Goodwin, M., Allan, J., Kelly, M. P., Pretty, I. A. “Bedtime routines child wellbeing & development.” BMC Public Health 18, 386 (2018). https://doi.org/10.1186/s12889-018-5290-3
  4. Selman, S. B., & Dilworth-Bart, J. E. “Routines and child development: A systematic review.” Journal of Family Theory & Review 16(2) (2024): 272-328. https://doi.org/10.1111/jftr.12549
  5. Harvard University Center on the Developing Child. “Building the Brain’s ‘Air Traffic Control System’: How Early Experiences Shape the Development of Executive Function.” Cambridge, MA: Harvard University, 2011. Retrieved from https://developingchild.harvard.edu/resources/building-the-brains-air-traffic-control-system-how-early-experiences-shape-the-development-of-executive-function/

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